建築マネジメント・コンサルティング業務

一般的に設計事務所は建物の設計をすることがメインの仕事です。わたしたちも建物の設計を主軸として活動しています。しかし、一品製作でオリジナル性の高い建物を設計しようとする私たちに、次から次へ新規の設計依頼が立て続けに入ってくるということは、残念ながらありません。仮に、立て続けに入ってきても小規模な設計事務所では複数の設計を同時に何件も対応しきれません。どの設計事務所もそうだとは言い切れませんが、設計依頼には波があり依頼が重なる時もあればなかなか依頼がない時もあります。

そこで、幣事務所では主軸の設計業務の他に建物に関するマネジメントやコンサルティング業務を実施しています。広島をメインの拠点として独立して感じたことに、「建築士」は思った以上に頼りにされているということ、また、会社の組織内に建築の専門部署を置く企業はほとんどなく、時折発生する様々な建築的問題や課題に対して専門知識が少ないがために工事事業者や設計者に対して対等なコミュニケーションがとれていないという会社があちらこちらにあることがあります。

勿論、不安定な設計事務所の経営を安定させたいという幣事務所の事情もありますが、私が感じた地方の現状に対して、私の経歴や経験を活かして地域に貢献できるものだと考えています。というのも、実は設計事務所からの転職先として結構多いのが、企業内の施設部といった大企業内の建築部門やコンストラクトマネジメントなどをメインとする建築コンサルティング会社への転職です。特に私が所属していいたような大手組織設計事務所の人材はそこで培ったスキルや知識がこういった企業から求められており、実際に私の同僚や知人・友人も多く転職をしています。

ここでは、幣事務所による建築マネジメント・コンサルティング業務の一部を紹介します。

①企業内の施設営繕部のような役割を実施するコンサルティング業務

大企業では会社内に主として所有する建物の維持管理などの業務を主とする施設営繕部をもつところも多いですが、中小企業では会社内にそのような組織を持つことができません。ここでは、所有する工場内での不具合や環境改善において、アドバイスを行ったり、各施工業者との交渉・折衝を代行し、施工においては立会いによる監視を実施するなどを行っています。

下表は床の改修工事におけるいくつかの改修パターンに対して、事業主が判断しやすくするために施工業者から提出された見積書をもとに比較表を作成したもの。工事は幣事務所立会いのもと、工場の短い休業期間を活用して実施しています。

②設計業務+コンサルティング業務の組み合わせ

設計依頼を打診された場合においてでも、建築主に求められる役割に対して設計業務を幣事務所が実施することが建築主にとってメリットが低いと判断すれば、マネジメント業務にて契約を行うことを勧めることがあります。

マネジメント業務と言っても「一切設計業務を実施せずマネジメント業務のみ実施」する方法や「基本設計のみ幣事務所で実施して実施設計以降はマネジメント業務を行う」などやり方は様々で、建築主と相談してその業務形態を決定しています。

幣事務所の場合、実施設計に対する報酬は一般的な設計監理に対する報酬の中で約半分を占めますので、実施設計を実施した方が実際には儲かるのですが、幣事務所が実施する実施設計は建物の意匠性や品質を担保するために、かなりしっかり設計図面を作成しますので、そこまでの詳細な設計は不要であるという場合は実施設計を幣事務所が実施するメリットは建築主にとってそれほどありません。むしろ、余計な出費とも言えます。

丁度ここ最近の話ですが、建物の改修について相談を受けている件について、①幣事務所がフルで設計監理業務を実施、②幣事務所が基本設計のみ実施、③幣事務所が基本設計を実施し以降マネジメント業務を実施、の3パターンを提示しています。

こちらはまだどうなるかわからないというものですが、今回の場合は、設計+マネジメントのハイブリッドである③基本設計業務+コンストラクトマネジメント業務をお勧めしています。


下記コラムでは「設計事務所によるマネジメント業務」として、コンストラクト・マネジメントなどについて書いています。宜しければ続けてご覧ください。

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設計事務所によるマネジメント業務 マネジメント業務では設計時おいては提出される図面や見積内容に対する確認や精査、工事時においては施工状況や監理内容の確認などを行います。ここでは、標準化されることで起こるかもしれない間違った理解や正しくない設計や施工を建築士として監視することを行っています。

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