住宅の温熱環境改善リノベーション(2) -ハイサイドライトの導入で空気の流れを生み出す –

風の流れを生み出す

住宅において、窓開口を平面上対角に設置するなどの工夫により風通りのよい環境を生み出すことはよく知られていますが、それはあくまで風がある時の話。
無風状態や微風では十分な通風が期待できません。
また、都市部の住宅では建物間の距離が近く四方の窓により通風を確保ということが難しいことも多々あります。

そんな時に最近よく採用されるのが、ハイサイドライト(高窓)。
煙突内の暖められた空気(排気)が勢いよく上昇していくのと同じ現象:煙突効果を利用し下方から上方への空気の流れを生み出すことで、暖められた空気が自然に上昇していく力を利用して通風を生み出すという考え方で、外部が無風状態でも建物内に空気の流れを自然の力で生み出すことが可能です。
(煙突効果については「吹抜けを利用した自然換気」「吹抜けを利用した自然換気 続編 」をご覧ください)

さて、しかしこのハイサイドライト、一体どの程度の効果が予想できるのか?
それを見ていきたいと思います。

ハイサイドライトの有効性

既存住宅のリノベーションにおいてハイサイドライトの設置を計画し、効果の予測を行うために実施したシミュレーションの例。

無風下における自然換気シミュレーション(室温) 中間期(5月)無風下での自然換気による室温シミュレーション。ハイサイドライトがない場合、日射等で暖められた暖気が2階廊下に滞留し室温を上昇させている。ハイサイドライトにより暖気が排出されていることが分かる。

昼間に上階に溜まった熱気がこもり、夜間の上階での就寝が寝苦しいなんてこともありますね。その状況が改善されるのか?それを予測したシミュレーション。

夜間無風下における自然換気シミュレーション(室温) 夏季の夜間無風下において自然換気時の室温シミュレーション。人体発熱による室温の上昇について通風による排熱効果を検証している。上:改修前(ハイサイドライトなし)、下:改修後(ハイサイドライトあり)。中央の室について状況が大きく改善されることが分かる。

風がある時についても、ハイサイドライトの効果によるより多くの通風が確保できるのか?有風下での風速シミュレーション。

有風下における通風シミュレーション(風速) 中間期(5月)有風下での自然換気による風速を示している。どちらも1階の主要な窓を開け通風を確保しているが、ハイサイドライトを設置した方がより多くの風が抜けていく(風速が大きい部分が多い)ことが分かる。

実際に効果を体感

改修後3年近くなりましたが、建築主様にから「熱気だまりが無くなった」「夜間の通風が確保できている」とのお声を頂いています。
ハイサイドライトの設置により工事費はUPしますが、効果は上々。引き続きその効果を確認していきたいと思います。


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