既存の鉄筋コンクリート造2階建の建物の2階部分(プール)を撤去し、既存建物の上に鉄骨造で増築・改修した難聴学級と地域開放施設からなる小学校校舎。校舎入口へと誘導する「赤い壁」は児童の記憶に残る校舎のシンボルとして計画されている。
①2階プールを全撤去し2階を増築/②1階は既存改修/③1階は難聴学級、2階は地域開放施設
①既存建物を活かした増築計画/②1階と2階の大きく異なる使い勝手/③記憶に残る母校として
① 既存部分と増築部分を活かした建物デザイン
既存校舎は2階建て鉄筋コンクリート造。
1階は難聴学級の教室など、2階は屋外プールと更衣室となっていました。
コスト上のメリットで1階は内装改修、2階はプール撤去し増築としました。(赤:撤去、青:改修、緑:増築)また、1階と基礎への構造負担を考慮し、軽い鉄骨造が選択しまいた。
そこで1階既存鉄筋コンクリート造の上に軽い鉄骨造のロの字型の箱が重なる混構造として外観を表現しています。
1階の増築部分は校舎のエントランスとして、2階の増築部分は日射を遮るバルコニーとしての機能も付加しています。
② 難聴学級として遮音・吸音性能の確保と上下階の遮音・振動対策
1階は難聴学級、2階は地域住民にも開放する教室。動線も使われ方も独立した異なる学校機能を上下に重ねています。
特に、難聴学級教室は静寂な環境が必要であり、室外からの遮音性能と聞き取りやすさを高めた吸音性能が求められました。
そこで、2階の床は既存コンクリート床の上に緩衝材を挟んで新設のコンクリート床を施す浮床構造としています。飛び跳ねなどの重衝撃音、ヒールなどの軽衝撃音の両方に対して有効な工法です。また、教室間の壁は遮音性の高い壁とし教室や廊下との遮音性を高め、開口部は2重サッシとして外部からの遮音性を高めています。教室内は吸音材を壁・天井(グラスウール化粧吸音板)、床(タイルカーペット)とし、音の反射の少ない教室環境を確保しました。
③ 児童の記憶に残るシンボルツリーと赤い壁と既存壁画
校舎入口へと誘導する「赤い壁」。
児童の記憶に残る校舎として、地域に対する校舎のシンボルとして愛されることを願い・・・。シンボルツリー(桜)と共に児童を出迎えそして送り出します。
また、既存外壁に設置されたいた陶板壁画はそのまま残し、内部化したエレベーターホールを彩っています。
用途 :小学校
規模 :地上2階
構造 :鉄筋コンクリート造+鉄骨造
延床面積 :900㎡