杉板型枠コンクリート打放と種石入GRCルーバー、ガラスで構成された品格あるデザインオフィスビル。最上階のオーナー専用のペントハウスは屋上庭園をもった地上とは切り離された都市のオアシス空間となっている。モダンさと温かさを兼ね備えたデザインで、隅々まで行き届いたデザインを行っている。
①番町に相応しい品格ある建物/②他にはない競争力の高いテナントビル/③独立したオーナースペース
①前面道路斜線による形態制限を受ける/②両側の隣接敷地には建物が近接/③奥行きが深い敷地形状
① 自然素材のようなルーバーと杉板型枠コンクリート打放
番町は江戸の武家屋敷の面影を残す石垣などが見られる落ち着いた街並みであり、高級住宅地として知られています。
石(ライムストーン)の風合いを持たせたルーバーと木目を写した杉板型枠コンクリートによって、無機質になりがちな外観に品のある柔らかさを加えました。
一般にライムストーンは風化が激しく、また、十分な強度が確保できないため外部では用いることができません。そこで、ガラス繊維で補強されたコンクリートに顔料と小さな種石を練りこみ、成形したGRCルーバーを提案しました。
ルーバーは、日本の伝統的建築に用いられる格子をヒントに採用しています。
② 斜線制限の緩和手法により各階同一平面オフィスの確保と整然とした外観の実現
前面道路が狭く道路斜線制限により形態制限を受けますが、天空率を利用した緩和により貸床となるオフィス面積の最大化と同一平面形状を実現しています。
形態制限による”結果としての外観”ではなく、”意図した外観”となっています。
③ 明るく開放的なオフィス空間
道路側はできる限りの自然採光と開放性を確保するために全面のガラスカーテンウォールとし、腰と上部のGRCルーバーにより日射遮蔽、間接光の導入、恐怖感の低減、道路・歩道からの見上視線の遮断しながら、光と視線による明るさと開放感を確保しました。
熱負荷の大きい西側にコアを配置し、道路に面した南北両面の主開口・折上天井としてオフィスの奥まで自然光が届く、空調と照明のエネルギー消費が少なく、明るいオフィス空間となっています。
一般的にはオフィスビルでは不利とされる鉄筋コンクリート造で鉄骨造以上の十分な天井高さを確保しました。コンクリート打放し梁の両側を照明ボックス+空調吹出口とすることで設備機器の見えないすっきりとした天井を実現しています。
④ 地上から切り離された都市の中の別荘的オーナールーム
最上階のオーナーゾーンは地上部から切り離されたオーナーのための占有空間となるように、ペントハウスとしました。セキュリティカードと連動したエレベーターでアプローチするダブルハイトの居室空間は打合せ、ラウンジ、ギャラリー、パーティーなど様々な使い 方に対応できる設えとなっています。
内部空間と連続する屋上庭園は、梅の花をイメージしたパンチングパネルで囲って都市の風景を緩やかに切り取り、季節を感じる種々の植栽を配置した「都市の中のオアシス」としました。
用途 :オフィス、オーナールーム
規模 :地上7階/地下1階
構造 :鉄筋コンクリート造、一部鉄骨造(オーナールーム部)
延床面積 :1,350㎡