埋蔵文化財調査の結果通知

現在進行中のクリニックプロジェクトの敷地は、日本有数の埋蔵文化財が発掘されている地域の一角で、埋蔵文化財包蔵地に指定されています。埋蔵文化財包蔵地内で建物を建設する場合や土地を掘削する場合、文化財保護法に基づき手続きを行う必要があります。
先のブログで試掘調査の立会いを報告しましたが、県より正式に「埋蔵文化財は確認されないこと」「慎重に工事を実施すること」として通知がありました。

仮に埋蔵文化財が確認された場合、かなり大変です。一般的には工事着手が許されず、本格的な発掘調査が求められます。また、事業用途での建物工事などの場合は発掘調査の費用も事業者側の負担が求められます。埋蔵文化財を保護することは非常に重要なことですが、一方で、スケジュールが大幅に遅延してしまうことや想定外の費用は事業者側にとっては大変大きな負担となり、場合によってはプロジェクトが頓挫してしまいます。

埋蔵文化財包蔵地内の手続きフロー(今回該当県)

今回、計画初期段階から敷地は埋蔵文化財包蔵地内であることを確認しています。そこで設計の早い段階で建物を「木造化する」「平屋にする」ことによって「建物を軽量化し基礎を最小化」する方針としました。また、地盤が決して良好と言えない敷地ではありましたが、基礎躯体の構造詳細検討によって杭や地盤改良が必要ない計画とし、掘削深さを抑えることで埋蔵文化財包蔵地における事業者側のリスクを最小限にする設計としています。

今回掘削深さより深い部分には、もしかすると埋蔵文化財が存在しているかもしれません。今回建物はもしかすると埋蔵文化財の上部に建つことになるかもしれません。しかし、その可能性を踏まえながら掘削を必要最小限の計画とすることで、埋蔵文化財を傷つけない計画とも言えます。(埋蔵文化財が発見された後、建物工事を実施する場合は、一般には発掘調査を行って記録は残すものの埋蔵文化財は当該場所にはなくなってしまいます。)

埋蔵文化財が発見されなかったことによって、当初予定通りのスケジュールで工事がスタートする予定です。

計画建物のコンセプト模型

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