国のCO2先導事業として認定された環境配慮型ビルで先進的な環境配慮の取り組みを行っている。執務空間中央に吹抜けを設けること、構造体を利用した外部フレームにより日射を制御し、明るく快適で機能的な執務環境を創りだしている。
①業務効率の向上/②コミュニケーションの促進/③快適でゆとりある内部環境/④地球環境に優しく自然環境を生かした施設
①機能的でフレキシブルなユニバーサル・オフィス/②コミュニケーションとモチベーションをつくりだすエナジェティック・オフィス/③循環型社会の実現に向けたサスティナブル・オフィス
① 施設の中心:「吹抜け」
□光と風と人を導くオフィス中央の吹抜
オフィスの中央に吹抜けを設けて執務スペースに自然光と風を導きます。
ハイサイドライトから取入れられた天空光はステンレス製のリフレクターに反射して、執務空間や1階ロビーを照らし照明負荷を低減しています。また、暖められた空気は吹抜けの煙突効果により上昇し最上部の排気窓より外部へ排出されることで、執務スペースに外気を取入れ、空調負荷の低減に寄与しています。
同時に吹抜内部に階段を設けることで、上下階の執務スペースの移動距離の短縮と視覚的な連続性により部署間のコミュニケーションを活性化し、組織の変化にもフレキシブルに対応可能としています。
□フレキシビリティが高く使いやすいロの字型オフィス
吹抜けを中心としたオフィスはロの字に「ひとつながり」の執務スペースで、平面的なレイアウトの変化に柔軟に対応できます。
グリッドシステム天井、ヘビーデューティゾーンの設定などの採用により機能性と柔軟性を兼ね備えたオフィスとしました。
□みんなが集まる吹抜け廻りのコミュニケーション空間
吹抜けの廻りには打合せスペースや、コピーコーナー、給湯・休憩コーナーを設け人が集まりやすい環境をつくりだしています。
周囲には縦フィンの輻射冷暖房設備を設け吹抜け廻りであっても快適な温熱環境をつくりだしています。
② 明るく快適な執務空間を実現する:「高性能アウトフレーム」
ヴィジョン部は高さ1.7mのFixガラスとし、広がりある開放感の高い計画としています。外周部の梁を逆さ梁とし天井より高い位置に窓を設けることで、執務室の奥まで均一な光が届きます。柱梁のアウトフレーム化(室の外に出すこと)と庇により日射を遮蔽し、年間のほとんどでブランドを使用せず日射遮蔽が可能な常に明るく開放的なオフィスを実現しました。
③ 設備更新と西日遮蔽を実現する:「テラコッタダブルスキン」
雨水・上水・排水・ガスの配管と排気ベントキャップは外部バルコニーに設置し、容易にメンテナンスが可能です。これらの設備の目隠しとトイレ・給湯室などへの西日遮蔽しながらの採光のためにテラコッタルーバーと壁面緑化を設置しています。
④ 快適性と省CO2を実現する:「設備システム」
エネルギー会社として循環型社会の実現に向けた取り組みの一環として、自然エネルギーの積極利用と環境配慮設備により「CASBEE横浜2009」にてSランク(BEE=3.7)に加え、「国土交通省住宅・建築CO2先導事業」に採択されました。
太陽熱・コージェネ廃熱による冷温水のカスケード利用(デシカント空調機、輻射冷暖房)と高効率GHPを合わせたタスク・アンビエント空調を採用して利用者の業務形態に合わせた快適性の高い省エネシステムを構築しています。
吹抜けを用いた自然採光や自然換気の有効性や窓廻りの温熱環境について環境シミュレーションを実施しながら検討し、適切な仕様や形状を決定しています。環境シミュレーションなどで検討された環境配慮項目の形状や仕様などが計画におけるデザイン上の大きな特徴となっています。
用途 :オフィス
規模 :地上5階
構造 :地上部 柱:鉄骨鉄筋コンクリート造、梁:鉄骨造
延床面積 :7,260㎡