建築のデザインにおいてとても重要なディテール。建築家はデザインする建築において、そのディテールまでこだわってデザインを実現しています。ここでは建築家として目指すデザインを実現するために熟考を重ね、設計協力者や施工者・メーカーと協働の上に実現したこだわりのディテール例を紹介します。
前回は設備を見せないデザインについて
今回は扉などの建具のデザインについて。
タイル壁を戸当り・振れ留めに加工した引戸
クリニックの事務室と待合室間の仕切り扉。患者さんが誤って事務室に進入しないよう行政の指導により設置を求められたH700mmの収納引戸。通行部は下レールのみ、造作机の天板下に設けられたガードローラーと戸先の戸当り壁によって保持されている。できる限り要素を減らして、「枠」という異物を設置しないようタイルによる溝により扉先端を挟み込むことで戸先保持ができるようにしている。
高さ2.8mの自立したガラススクリーン
セキュリティ確保のためのガラススクリーン。1階打合せスペースと2F~の執務スペースを直接つなぐ階段に対してのセキュリティ確保のための囲いとして設けられている。基本的には床より自立の片持ちガラスであるが、方立をH2200まで立上げガラス押えのピースによって上端部の振れ止めとしている。
内外を連続させる枠を消したサッシの納まり
内外が連続するように枠を隠したガラス窓。内外が視覚的につながり、一体の空間のように感じられる。都市部オフィスビル屋上のオーナースペースであるが、周辺のビル屋上部分の空間を独占しているような感覚に陥ることができる。
耐熱強化ガラス防火認定品のため、中間方立が必要であったが、存在感を弱めるため形状を工夫し黒色塗装している。壁側は壁と近似色塗装、床はデッキ下、天井は折り上げて枠を設置している。ガラス破損などのためのガラス交換は外部側のデッキを取外せば可能となっており、メンテナンス性を切り捨てないデザインとしている。
メンテナンス用の大扉
MRIやCTの機器更新のための搬出入ルートとして計画されている。MRIやCTの更新は頻繁に行われるわけではないが、よりよい医療の提供のためには機器更新は必須であり、そのルートの確保もまた必須であった。そのため、MRI等の設置室→待合ロビー→風除室→外部の単純な動線を確保している。
郵便ポストを備えた門扉
ポストを備えた製作門扉。ポストは門扉の中に隠れて存在している。既製品の外部用ポストのピッチに合わせて格子ピッチを定め門扉全体を構成している。