建築のデザインにおいてとても重要なディテール。建築家はデザインする建築において、そのディテールまでこだわってデザインを実現しています。ここでは建築家として目指すデザインを実現するために熟考を重ね、設計協力者や施工者・メーカーと協働の上に実現したこだわりのディテール例を紹介します。
前回はサッシを含む外壁の開口部廻りについて
今回はダクトやベントキャップ、配管などの設備を見せないデザインについて。
光が透過するダクトスペース
カーテンウォールから十分な採光が期待できるが、屋根が壁に対して浮き上がったような見え掛りとなることで閉塞感のない軽やかな印象の空間にすることができている。
ダクトスペースは喫煙室の排気やトイレの排気のダクトが設置されている。臭いの有る排気を集約し給気口や窓開口から遠ざけることで、室内に排気が流入しない。
屋根と屋根の間を利用して外部からは見えにくい部分で排気を行うと共に採光を行っている。
砂利下の排水スリット
砂利の下には浸透管が埋設されており、雨水は浸透管から桝へ流れる。設備としては排水側溝ではなく、ビルのエントランスを形作る要素となっている。
階高を抑えたRC梁露出の天井
天井高さは扁平させたコンクリート梁の下端高さに合わせて設定し、階高を抑えた上でできる限りの天井高さを確保している。
コンクリート梁を利用した連続する照明ボックスと空調スリット。天井裏には空調機が設置されている。コンクリート梁間で換気・空調・照明が完結しており、梁下に間仕切り壁を設置することで室を区切ることが可能なシステムとなっている。
決して大きくないテナントビルであるが、意匠的なグレードを保ちながらテナントのニーズに合わせて可変できるフレキシブルな事務室を提供している。
存在感を弱くしたモニタ設置用の壁
吹抜けに面して独立するモニタを設置する壁。吹抜けへの連続性や視認性を大きく損なわないようパンチングメタルによって構成している。配線は壁内に設置され、裏面が開閉する仕組みとすることで、メンテンナンスやモニタ更新が容易になるように設計されている。
モニタには太陽光発電の発電量や自然換気窓の開閉状況などの様々な環境性能に対する情報が提供され、利用者の環境意識を高め、建物の環境配慮性能の積極的な活用を促す役割を果たしている。