-Lで包まれたブックカフェのような診療所- MSクリニック計画

当クリニックの来院者は、個別の事情や症状を持ちここを訪れる。不安な気持ちもった来院者が時を過ごす空間、ここがいかに居心地のよいものとできるか。


本計画では、L型の壁(屋根)で空間を包むように間仕切り、囲われ感による落ち着きとプライバシーを確保しながら、L型の壁(屋根)のずれや隙間から空間を少しだけ開き、空間相互の連続性や繋がりを確保している。ずれや隙間から感じられる光・音・気配などにより、街や自然といった外部環境や他の来院者や医療スタッフといった他人の存在を緩やかに感じることができる。


来院者はクリニック外部からの好奇の目を遮断し、プライバシーを確保したいと考えている。L型の壁(屋根)幾重にも重ねてずらすことによって中を見通せないよう外部からの視線を適切にコントロールする一方、内部からは光や影、空や緑や雨などの外部が感じられるよう窓開口を設けている。

また、来院者は同じクリニックを訪れている他の来院者や医療スタッフとさえその距離を保ちたいと考えている。待合空間は来院者が不安な気持ちのまま、それぞれがひとりまたは同行者と過ごす空間であるが、そこでは互いのプライバシーを配慮しながら、それぞれの居場所が確保されているが孤立していない空間とすることが必要に思われた。例えば、図書館やブックカフェのように・・・。L型の壁(屋根)や本棚などによって視線や気配を緩く切って適切な距離感を維持しながら、本を媒体としたり、空間を介して、他者の存在を感じることができる空間。

ここはL型の壁(屋根)で包まれたブックカフェのような心地よい居場所となる。