建築のデザイン 「水切り 20mm」

外壁の汚れ

完成当初はとてもきれいだった外壁。
歳月が過ぎていくにつれて、汚れていきます。
建物は毎日洗濯する訳にいきませんので、汚れていくのは宿命です。
しかし、中には外壁がきれいなままの建物もありますね。
この違いは何でしょうか?

最近では光触媒など防汚性の高い外壁なども増えていますが、
一番重要なのは、水の処理です。
完成当初からあまり汚れが目立たない建物でも必ず汚れています。
しかし、「一様に」「少しずつ」汚れているため分からない、気にならないのです。
外壁に汚れの筋ができている建物を見かけますね。
こういう建物はすごく汚れているという印象になります。

窓下が汚れてしまっている例

こういった汚れはどのようにして発生するのか?
それは・・・

  1. 平場に埃等が溜まる

     ↓

  1. 溜まった平場に雨が降る

     ↓

  1. 汚れた水が外壁に沿って流れる

     ↓

  1. 外壁が汚れる

ということです。

20mmの水切り

では、どうすれば良いか?
「だから、軒がない家なんてダメなんだ!」
なんて声も聞こえてきそうですが、
確かに一理あります。

が、敷地やデザイン・工法などの条件で全ての建物で軒が取れる訳ではありませんね。
そこで、「20mmの水切り」です。
窓などの下に水を切るために設ける水切り

一般的な窓下の水切り

窓下の水切りは壁の厚みと窓の厚みのギャップを埋めるものですがその壁からの出寸法を20mm以上取る。
勿論、水切りの形状によって、20mm必要ない場合もありますがシャープでフラットな意匠と機能を同時に満たせる水切り。
これを私は「水切り20mm」として実践しています。

フラットでシャープな窓下の水切り。20mmの出を確保している。

水切の両端の納まり

20mmの出寸法の他にも外壁を汚さない水切りには工夫が必要です。
折角、水切りの出を20mm以上としても汚れた水が水切りの壁際からこぼれて壁を汚していしまいます。上の汚れた外壁の例の写真も特に水切りの両側の壁面が汚れています。

これを防ぐためには水切りの端部に立上りを設けることが有効となります。下のディテールではたった10mmの立ち上がりですが、この10mmがこの後の外壁の汚れに決定的な違いをもたらします。


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