工事が始まったら ~窓口はひとつに~

いよいよ現場のスタート

設計の打合せも終わり、設計図書が完成して工事業者さんも決まった、確認申請も無事終了。さあ、いよいよ工事(通称:現場)が始まります。

少しずつ出来上がっていくさまは本当にワクワクするものです。
実際出来上がっていく過程をみていくとそれまでわからなかったことが初めてわかることもあります。設計監理者や工事業者さんを信用することも大事ですが、あとから「こんなはずじゃなかった・・・。」ということが起こらないよう、建築主自らが現場で確認することも重要です。

一方、工事中の現場は建築主に引渡しがなされるまで“工事業者の管理下にあるもの”です。観たい気持ちがはやるばかりに、無断で立ち入ることはお勧めしません。(というかご法度です。)気持ちは分かりますが、事故やトラブルのもとになりますので勝手に立ち入ることはNGだと思ってください。

工事中の現場は危険がいっぱい。工事用の機材や資材が所狭しとおいてあります。
立てかけてあったり、はみ出すように置いてあったり。意図していなくてもぶつけたり傷つけたりしていますこともあります。

現場定例

事業系の建物の場合は多くの場合そうですが、建築主、設計監理者、工事業者が同席のもと定期的な会議を設け疑問点や確認事項を互いに確認し、現場を巡回する「現場定例(会議)」を実施します。

戸建住宅の場合、スケジュールの調整や場所の確保の点でスケジュールを決めた定例として「現場定例(会議)」を実施することはなかなか難しいですが、ポイントポイントで建築主、設計監理者、工事業者が同席のもと現場を回って、現場を見ながら疑問点や確認事項を互いに確認していくという現場の確認方法が望ましいと思います。

窓口はひとつに

建築主、設計監理者、工事業者の三者での現場確認以外でも、建築主が現場を確認することもありますが、その場合、現場で気づいたことや変更事項などについては直接職人さんに伝えることは避けてください。
設計監理者や現場代理人(工事業者さんの主担当者)など全体を統括する立場の人に内容を伝え、対応してもらいましょう。窓口がいくつもあると連絡の行き違いや内容の誤認などによる混乱を生み、建物の品質や出来に悪影響を及ぼす可能性があります。窓口はひとつとして、気づいたことや変更事項など伝達し、現場内での伝達ややり取りは現場内の方に任せるという勇気も必要です。こういう点において、設計監理者や現場代理人のコミュニケーション能力はとても重要な要素となりますので、コミュニケーション能力というものも設計監理者や工事業者を選定する上でも重要だと思います。

もちろん直接、職人さんと話しをすることは問題ありません。むしろ、職人さんにとって建築主がどういった人柄なのか?何に知りたがっているのか?どんな家が欲しいのか?
折角、自分が携わり作り上げていくものですから、建築主と言葉を交わすだけでもモチベーションは変わってきます。現場で建築主の方から積極的にあいさつするだけも違ってくると思います。

話の流れで、疑問点などについて職人さんと話などになった場合、手間となりますがその内容について窓口となっている人(設計監理者や現場代理人など)に伝えてください。詳しい内容は窓口となっている人が職人さんに確認するなどで理解できますが、話が職人さんだけで止まってしまうこともありますし、最悪の場合スルーなんてこともあり得ます。
職人さんは職人さん気質とのところがあり、建築主らの疑問点などを現場代理人や現場全体に知らせる必要性を感じないというところも多分にあります。良かれと思って行った行為がかえってよくない方向に進んでしまうということも。

建物はチームでつくりあげていくものです。そのチーム内のコミュニケーションがうまくいっている時、“いい建物”が出来上がる実感があります。
コミュニケーションをうまくとるためにも、「窓口をひとつにすること」。これはとても大切なことだと思います。


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