最近の技術はすごい
「これ本物?」
飲食店など席につくと、思わず壁を叩いてみたりしてしまいます。
職業病ですかね。。。
最近のイミテーションの進歩は著しく、印刷技術のみならず光の反射感、凹凸などの素材感などパってみた感じでは、本物かどうかわかりませんね。
そもそも本物であることが本当に必要かという議論もあるかと思いますが、経年による味や風合いなどはやっぱり“本物”の方が優ることが多いと思います。
で、思わず気になってしまうのが
「これ本物?」なんですね。
正直、プロである僕たちもパッと見た感じでは分からないことも多いです。近くで見てみて、触ってみて、叩いてみて。。。
また、これはどうやって取り付けているんだろうなんてことも気になってしまう訳で、思わず叩いてみたりするのですが、一方で、一目瞭然に「違うな」というものもわかったりします。
使い方ひとつでウソっぽく
例えば・・・
石模様のものが空中に浮いているようなデザイン。
物理的にはあり得ないことが明らかに“安易に”成立していたり、
本来、凹凸がある素材を2次元的に凹凸があるように表現(影で表現)しているのに、照明器具の配置との齟齬が明らかだったり、
成り立ちや構造的な要素を見せず、普通はあり得ないデザインを工夫して実現するデザインも確かにありますが、偽物を使って本物が本来あるべき姿でないものを“安易に”実現してしまうと、やっぱりとてもウソっぽく見せてしまうんだと思います。
実はこれ、わざと狙ってやっている人もいます。特にインテリアデザイナーに多いと思いますが、そもそもイミテーションなんだから本物らしくみせることに意味がないとか、ウソっぽいのがむしろ面白いなんてことを狙っている場合です。
それはそれとしてデザインの方法だと思いますが、私はやっぱりイミテーションでも似せた素材そのものに見えるよう心掛けて設計をしています。
目地
素材感は実際の肌触りや陰影や使い方の他に、特に目地の入れ方ひとつで大きく変わります。
石や木は1枚当たりの大きさが大きいものほど、厚みが厚いものほど希少価値が高いため高価であり、それがゆえ高級感を醸し出します。また、サイズについても正方形など規格品によくある形状はどうしても安っぽく見えてしまいます。
私が天然石を使用するような場合、特段の理由がない限り300□など規格品に見えるサイズで使用することはほぼありません。
一方、木のパネルは通常3×6版(900mm×1800mm)などのサイズが流通していますが工場などでの製作サイズや輸送上の限界、はたまた素材そのもののサイズなどにより、普通には製作することができない大きさなどがあります。(世界中を探せばとても大きな木はありますが、希少価値が非常に高く普通には手に入りません。)
そんな中、普通にはあり得ない大きさの木の天井や壁が、目地なしで貼られていたら・・・
また、例えば木調のシートは同じ製品であれば基本的には木目模様が同じとなります。これが目地なしで同じ模様で繰り返し貼られていたら・・・。
まあ、それは完全に“OUT”という感じです。
だから、目地は機能上不要であってもあえて設けます。また、透し目地とするとパネルの厚みが表現できてより素材感が醸し出されますね。
目地はピッチの他にも太さ、色で素材の印象が大きく変わってしまいます。
目地を出すのか?消すのか?
同じ色のタイルでも目地の色やピッチが違えば印象はかなり異なります。
例えばの事例ですが、
一般的に外壁用50□モザイクタイルは45角のタイルを5mm目地・50mmピッチで並べていくのが一般的です。
目地の割合が多く、かなり目地の印象が強くなります。
そこで、目地を3mmとして48mmピッチでモザイクタイルを並べてみました。たった2mmかもしれませんが、目地に対するタイルの面積割合は9倍⇒15倍となり印象としてかなり変わってきます。
細かいことですし、その検討や実施は手間や労力がかかります。しかし、こういった細かい積み重ねが建物をデザインするという意味ではとても重要だと思っています。