建築のデザイン ~次元を下げる~

図面は必要か?

2017年11月のブログで少し書きましたが、建築設計が3次元化していく中で、建築図面(2次元図面)は必要か?という話。

僕の立場は「これからも必要」。

建築設計図の例

現在、BIM(building Information Modeling)といって建築モデルに情報をもたせて早い段階からコンピュータで3次元化し設計していく流れになってきています。これは、一品生産である建築において仮想空間で建物をつくりながら設計していくという方法で、これまでは工事現場でつくってみてはじめて見えてくる問題などを設計段階で仮想的につくってみて解決しながら、かつ、情報を速やかに、例えば工事費算出に反映できるようにしていくというもので、より効率的で質の高い建築の創出を目指しているものです。

しかし、建築設計の中で実際のものに近づけるということも重要ですが、 “考える“と”伝える“いう場面においては次元を下げるということがとても重要だと思っています。

次元を下げて“考える” 事例①

コミュニケーションボイドの断面図

視線がどう止まるのか、どう抜けるのか。そういったものを断面図でとらえながら設計しています。実際の空間には断面に対する奥行き方向の次元がありますので、実際の空間のい面しか切り取っていないといえます。しかし、高さの相互関係については十分捉えられ、理解することが可能です。断面図を考えるときはスケール感を持つために人を記入して検討します。

次元を下げて“考える” 事例②

ファサード(外壁)を改修してデザインを大きくリニューアルしたプロジェクト。

形を決めるための検討として、コンピュータグラフィックで作成した外観パースを基にここから色情報を削除しモノトーンにして形を検討しています。

断面図と同じですが、次元をさげて検討することで純粋な形・陰影の検討をするというものです。一度、3次元化してつくったコンピュータのモデルから2次元の絵に落とし、それをさらにモノトーンとして色情報を削除して検討する。このように次元を行き来するような検討を行います。

次元を下げて“考える” 事例③

上のスケッチはアクソメトリック(アクソメ)という画法によるものですが、実際の視覚的な奥行き感を削除して立体図を描く手法です。建物は実際つくるときは部材や部品を繋ぎ合わせていく訳ですが、必ずジョイントが出てきます。これらをそれぞれの部材の都合だけでつなぎ合わせていくと、線がそれぞれの都合で出てきてしまいます。そのため、それぞれの線がどうつながるべきかということを検証するためにアクソメを使用して検討しています。

この線のつながり方は漏水にも直結する機能的な問題もはらむため、デザインと機能を両立するために、よくよく検証が必要なものです。

当該スケッチは、現場に入ってからの検討で施工図(施工するために最終的に工事施工者が作成する施工前の最終図面)を見ながら、設計図の意図を反映できているか?その上で機能的な問題をクリアできているかというものを確認するために作成したものです。

赤く囲んだ部分が、アクソメスケッチで描いた部分

次元を下げて“伝える”

また、このアクソメは同時に、工事施工者に納まりや意匠の考え方を伝えるものでもあり、実際施工図のチェックバックと共に施工者に提出しています。

設計が3次元化すれば2次元図面は省略され、建物が出来上がっていくという意見もありますが、次元を下げて相手につたえるということは重要なことだと思います。2次元の設計図面は自分が理解する手段として、相手に伝える手段として図面は残っていくのではないかと思っています。

3次元データのやり取りによって、設計3次元データをそのまま現物化するという考え方はブラックボックス化された状態のまま意味も分からず、つくっていくことになりかねない。

次元を下げて“考えて“”伝える“こと。

建築をつくる場面においては重要なことのように思います。


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