事業採算性を向上する容積ボーナスの獲得による建築提案 

容積率

簡単に言うと、その敷地に最大どれだけの床がつくれるかという割合。
100㎡の広さの敷地に容積率200%だと、床としては200㎡までつくることが可能となります。

同じ大きさの敷地でも容積率の違いによって、つくることのできる床面積が異なることになりますので、一般的に容積率の大きい敷地は小さい敷地と比較して土地評価額が大きくなります。

さて、敷地の容積率どうやったら分かるのか?

まずは、都市計画で定められており、これは都市計画図で確認できます。一昔前までは当該行政庁などで購入しないと手に入らないものでしたが、最近では行政庁の多くはインターネット上で閲覧できます。(ただし、最新のものは役所にて確認くださいという注記は必ず記載されています)
これに前面道路の幅員などの条件などを加味して、敷地としての容積率が決定します。

容積ボーナス

敷地の条件によって決まる敷地の容積率ですが、様々な手法を活用することで容積率のボーナスを獲得とすることが可能となります。
代表的なものを大きく分けると、

  1. 都市計画法によるもの
  2. 建築基準法によるもの
  3. その他関連法規による認定によるもの
  4. 各行政庁による条例等によるもの

となります。

  1. 都市計画法によるもの

都市計画の変更を伴って街区単位で行うもの。
地区計画、特定街区、高度利用地区など、街区単位で通常と異なる容積率を特例的に定めること。新たに制定する場合、都市計画決定が必要となるため時間がかかる。

  1. 建築基準法によるもの

総合設計制度:空地を確保するなどにより容積率の割り増しや高さ規制の緩和を受けることができる。特定行政庁の許可を受けた後、確認申請の手続きとなる。
建築基準法52条8項:総合設計制度を用いなくとも、確認申請の手続きの範囲内で空地を確保するなどにより容積率の緩和を受けることができる。
防災・減災施設の除外:東日本大震災の後に防災・減災施設の幅広い整備を促すことを目的に備蓄倉庫、蓄電池、自家発設備、貯水槽のための床面積を容積率から除外するとしたもの。

  1. その他関連法規による認定によるもの

バリアフリー法による認定:通常よりも高齢者や身体障害者に対して利用しやすい施設とすることで容積率の割り増しを受けることができます。利用しやすいように配慮するために必要となる面積の増加分を容積から除外するというもの。
省エネ法による認定:2016年4月から実施されている新しいものです。省エネ法で設定する誘導基準を満たす建物に対して容積率の割増を認めるもの。太陽光発電、燃料電池、コージェネ設備などの省エネ設備を設置するために必要な部分の容積を不算入(延べ面積の10%まで)としています。

  1. 各行政庁による条例等によるもの

各行政庁が条例等により容積率を緩和行うものですが、昨今の大きな話題は宿泊施設の整備に対する容積率の緩和です。2016年6月には国土交通省が各行政庁に対して宿泊施設の整備を促すための容積率緩和制度を創設するように通知(www.mlit.go.jp/common/001134569.pdf)を出していますが、早速東京都などは大幅な容積率の緩和基準を定め施行しています。

容積ボーナスを獲得する提案

そんな手法を検討し、比較して提案した容積ボーナスを獲得して土地の有効利用を提案したのが、HK再生計画
保育園を一体整備することで、容積の割り増しについて総合設計制度と建築基準法52条8項を比較して、実現可能な方法を探り提案しています。

総合設計制度では保育園を整備することにより容積率の割り増しの可能性について検討、建築基準法52条8項においては、保育園の園庭を空地としてみなした他行政庁の事例を基に提案しています。


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