建築のデザイン ~記憶に残るシンボルとして~

桜の季節

今年は暖冬でしたが、それでも本格的に暖かい春は待ち遠しいですね。今年の桜の開花は例年よりも早い予想で、広島では3/23頃ということになっています。

桜の季節といえば卒業と入学ですが、今年はわが子も先日、卒業を迎え4月には新しい環境へ入学を予定しています。

今年は、桜は卒業式には間に合わず、入学式までもたないという感じになりそうですが、やはり卒業や入学には桜をイメージがぴったり合いますね。

学校のシンボル

卒業した学校について、記憶に残る場はありますか?

人の記憶はあいまいで、同窓会などで話をしていると「えっ?なに?!それ覚えてないわ。」なんてことが結構ありますが、学校内の特徴的な場所や象徴的な場は比較的記憶に残っているのではないでしょうか?

そういえば、娘の小学校で写った写真を見て高校時代の友人が、「あっ、おれの母校!」なんて反応をしたこともありました。

学校の典型的なイメージとして時計台がありますね。大学の時計台は勿論、学校をイメージするイラストなんかでは校舎に時計がシンボリックに表現されていたりします。

典型的な学校のイメージ

記憶に残るシンボルとして

写真は私が設計を行った公立の小学校の難聴学級の校舎ですが、同じ小学校の本校舎や体育館は道路を挟んだ隣の敷地にありました。同時に設計が行われた本校舎や体育館に対して、この難聴学級の校舎は同じ小学校としての統一感と単体の校舎としてのシンボルが必要と考えました。

本校舎や体育館では、外観にポイントとして赤色が使用されていました。そこで、児童を迎え、校舎へ導く形でこの校舎のシンボルとなる「赤い壁」を設置しています。この赤い壁の脇には桜を植樹し、校舎を象徴する場として入学式や卒業式の場面で記念撮影をしていただくことを想定しています。

この赤い壁が、在校中の児童や保護者、先生が名前を付けるような学校の中の特徴的な場となり、卒業生が小学校を思い出すとき想起される記憶に残るシンボルとなって欲しいという想いで設計しています。

学校が竣工して10年以上が経ちますが、今年も卒業生を送り出し、そして新入生を迎え入れる学校のシンボルであってほしいなと思います。

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