工事監理における設計図書との整合チェック

工事監理とは建築士法において「その者の責任おいて、工事を設計図書と照合し、それが設計図書の通りに実施されているかいないかを確認すること」と定められていますが、実際の工事監理においてどのように設計図書との整合を照合し、確認しているのでしょうか。

現在進行中現場での施工計画書チェック

確認の方法としては1)立会い確認、2)書類確認、3)抽出による確認となりますが、その確認において設計図書との整合を照合するために、設計図を元とした施工図や施工計画書があります。ですので、設計図書と照合した施工図等であることを確認し、その施工図等の通りに工事が行われているかを確認することが工事監理ということになります。

施工図や施工計画書は設計図を元に現場が施工するために作成する図面等で、現場をそれを確認しながら工事を進めます。この施工図等が正しくないと建物は正しくできません。住宅などの工事においては施工図等を作成せずに設計図をもって工事を進めることも多いのですが、設計図では実際の工事を実施する上では情報は不足しています。これは、実際の工事方法については設計者より施工者の方が熟知しており、設計図で描かれた内容を施工者の施工の仕方を踏まえて図面化したものとも言えます。

設計監理者は工事監理において、まずは第一に施工図等を正しいものにするためのチェックと確認を行います。これは工事を実施するための最終的な図面ですから、チェックは重要です。

  • 設計図書と相違はないか?
  • 設計意図と異なる状態になっていないか?
  • 漏水の懸念はないか?
  • 機能・性能が確保できるか?
  • 確認申請の内容と整合できているか?
  • その他法的に問題ないか?  など

「設計図書との相違はないか?」がすべてと言えばすべてなのですが、設計図書が必ずしも完璧という訳ではありません。施工図等の確認が設計監理者にとっては最終チェックであり、建物の良し悪しを大きく左右するものとなりえますから、しっかり腰を据えてチェックする必要があると考えています。

現在進行中の現場においても、まずは土工事や地盤改良工事の施工計画書、基礎躯体の施工図が上がってきています。それらをチェックバックして施工者とコミュニケーションをする。経験上、工事現場において施工者とのコミュニケーションの良し悪しは完成した建物の品質に直結します。しっかりコミュニケーションを取りながらよい建築を目指して進めてまいります。

現在進行中現場の躯体図チェック。緑や紫の色鉛筆が好みでよく使用します

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