活気あるまちの復活への願い

渋谷のスクランブル交差点。新型コロナウィルスの影響ですっかり人が疎らなようですが、通常であれば多くの人々が、混ざり合う液体のように流れています。この様は世界的にも珍しい光景で人々を魅了し、多くの観光客が訪れていますが、

渋谷スクランブル交差点

何が人々を魅了するのでしょうか?

多くの車が行き交う交差点。徐々に横断歩道の両側に集まってくる信号待ちの人々。信号が赤になりすべての車が停車すると、それまで静止していた人々は堰を切ったように一気に動き始める。四方から流れ、混ざり合い、そして、四方に散っていく。最後に、交差点内に残った人が足早に過ぎ去っていくと何もなくなった交差点には再び車が行き交い、そして、また徐々に信号待ちの人々が集まってくる。そんな目に見えて感じることができる人々や車の一連の動きの様が人々を魅了するのではないかと思っています。

私が暮らす広島の繁華街“紙屋町”。かつて紙屋町の交差点は渋谷のスクランブル交差点には遠く及ばないものの多くの人々が行き交う魅力ある交差点でした。からくり時計が設置されたそごうのエントランス廻り、三方に展開する路面電車、そして路面電車の利用者や本通りやそごう、広島市民球場や八丁堀などを往来する人々が行き交う街の活気をとても感じることができる場所でした。ですが人、電車、車の往来によって混雑し、車や電車はなかなか交差点をスムーズに通過できない交差点であったため、車や電車を優先し、人々を地下街に押し込み横断歩道をなくした結果、現在では大きく活気を失ってしまったように感じます。

建築学で非常に有名な書「パタン・ランゲージ」(クリストファー・アレグサンダー著)の中では広場における活気と歩行者密度の関係について考察が述べられていますが、まちの中心としての交差点にも同様に歩行者密度による活気の有無というものはあると思います。

広島市 紙屋町交差点   ここには人の気配が全く感じられない。

以前、旧広島市民球場の跡地活用についてサッカースタジアムとすることについてのブログを書きましたが、ヒロシマの象徴である原爆ドームに隣接した紙屋町にまちの活気を復活させることが広島の街づくりとして重要であるという思いがあったからです。

サッカースタジアムについては現状では旧広島市民球場の跡地よりやや北に位置した中央公園自由・芝生広場に整備する方針でまとまり、2024年開業(予定)として徐々に進み始めています。計画地は原爆ドームからは少し離れており、現在はまちの裏手という印象はあるものの紙屋町・原爆ドーム周辺の範囲です。3/31付けの中国新聞朝刊によると総事業費の想定は230270億円。大きな事業費を擁して整備するものですので素晴らしいものとなればよいなと思っています。


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