‐光が射し込むクリニック‐ PICTORUいずも画像診断室

雑誌 「KJ(建設ジャーナル)」 2016年10月号 掲載

機能優先・動線重視の病院施設において、暗くなりがちな待合スペース。

来院者の不安を少しでも取り除くことをテーマに

「外光が射し込む明るい木造のクリニック」

を目指しました。

□課題と要望

①特徴ある分かりやすいクリニック/②明るく来院者が使いやすいクリニック/③MRIの更新などに配慮した機能的なクリニック

写真撮影:野村和慎

① 出雲らしい特徴あるクリニック

隣接する既存建物の杉板型枠打放の外壁に対しては同じく杉板型枠打放の外壁に加え杉板仕上を採用し、波打つ屋根に対しては反り上がる木造屋根を用いて、既存クリニックと調和した特徴あるクリニックとしました。

既存棟と渡り廊下で繋ぐデザイン
既存棟と渡り廊下で繋ぐデザイン
コンセプト
コンセプトスケッチ

片勾配の木造屋根は瓦のようなSUS亜鉛メッキ鋼板の採用し周辺環境との調和を図っています。

pictoru_外観
渡り廊下から連続する反り上がる木造屋根

また、エントランスホールや待合スペースの床材には石州瓦の製作時に発生する廃瓦をリサイクルしたオリジナルの床材を使用しています。

廃瓦を利用したテラゾタイル
廃瓦を利用したテラゾタイル

② 来院者がわかりやすく機能的なレイアウト

クリニックへの来院者の動線が1階で完結し、待合スペースを中央に配置した利用しやすくわかりやすい計画としています。

エントランスホール_夕景
建物出入口より。 正面に受付・エントランスホール、連続して待合スペースが続く

操作室間と休憩スペースを直接接続したスムーズな医師・技師動線と事務室・診察室・処置室を連続配置し、クリニックとしての医師・看護師動線の機能を確保しています。

また、将来の機器増設や更新・メンテにも配慮し、搬入・メンテナンス動線を確保しています。

平面

隣接する既存クリニックから渡り廊下で接続し、スムーズな移動が可能としました。

pictoru_渡り廊下

③ 光が射し込む明るい内部空間

MRI室等は機能上必要とされる高さを確保し、上部に屋外機械を設置。

反り上がる木造屋根とシールドされたRC造のMRI室の隙間から外光を取り込み、明るい待合空間となるクリニックとしました。

pictoru_待合
光が射し込む内部空間:待合スペース

天井はガウディも多用したカテナリー曲線を利用した形状であり、ハイサイドライトから取込んだ光は天井に反射し室内を優しく照らします。

エントランスホール
光が射し込む内部空間:エントランスホール

また、内外装に木の温かみや人の手を感じる仕上げを採用することで当クリニックへの来院者の不安を和らげる空間づくりを行っています。

吹抜け部
吹抜け部
木縁甲板壁

外周は隣地への機器騒音・景観に配慮し、コンクリート外壁を立ち上げ開口部は可能な限り少なくしています。

立面・断面

用途   :診療所

規模   :地上2階

構造   :鉄筋コンクリート造、屋根木造

延床面積 :500㎡

所在地  :島根県出雲市今市町藤ヶ森

URL  :http://www.pictoru.jp/

設計協働 :サイン計画 株式会社 kenma

     :木構造 株式会社 シェルター

施工   :松江土建株式会社